【続・蹴球書評】ジャイアントキリングを起こす19の方法

ジャイキリ

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あらすじ

新しいブログに移って一発目の蹴球書評です。今回は、大人気サッカーコミック『GIANT KILLING』からインスパイアされたこの一冊。あらすじは以下の通りです。

大人気サッカーコミック 『ジャイアントキリング』 を、大御所・気鋭のサッカー人がプロ目線で徹底的に読み解く!!
日本サッカーに“今”求められているものとは何なのか?ETU監督の達海猛は選手にこう語りかける―
「お前ん中のジャイアントキリングを起こせ」
幅広い層から支持される人気コミックをリアルサッカーと対比。戦術、育成、監督論から、経営、広報……超豪華執筆陣が様々な切り口でETUを解剖!作中の印象的なシーンも多数掲載!

Amazon 「内容紹介」より引用

この本は多数の著者によって書かれた一冊となっています。日頃からサッカーニュースを追いかけてる方なら、よく目にされる方々ではないでしょうか?

【超豪華執筆陣!】
岩本 義弘 … サッカー専門会社フロムワン専務取締役
田中 滋 … ライター/鹿島アントラーズおよび東京ヴェルディ担当
岡田 康宏 … フットボールカルチャーマガジン「サポティスタ」主宰
是永 大輔 … アルビレックス新潟シンガポールチェアマン兼CEO
川端 暁彦 … サッカー専門新聞「エルゴラッソ」編集長
土屋 雅史 … J SPORTS「Foot!」ディレクター
北 健一郎 … ライター/サッカー&フットサルに幅広く精通

Amazon 「著者について」 より引用

 

マンガとサッカーの架け橋となる一冊

この本を紹介するにあたり、最も的確と思われるのが、プロローグに書かれていたこの一文。

本書「ジャイアントキリングを起こす19の方法」が試みるのは、マンガとしてのジャイアントキリングとリアルなサッカーとの間に橋をかけることだ。

本文より抜粋

自分はこの本を、「マンガのセリフ等を元にした自己啓発本」ではないかと推測していました。しかし、実際に読み終えた印象は上の一文そのまま。言い換えれば、マンガで起きた出来事と、実際に起きた事の対比です。

例えば、第1章の「達海 猛のメンタルコントロール」では、漫画『GIANT KILLING』の主人公であり、ETU(漫画内のサッカークラブ)の監督である達海 猛と、実際に鹿島アントラーズを率いてJリーグ史上初めて3連覇を達成したオズワルド・オリヴェイラが比べられています。論点は、二人の監督が共に得意とする、選手のモチベーションコントロール。

自分は“ジャイキリ”を全巻所持しているので、達海監督の仕事ぶりはよく知っていますが、やはり漫画の世界という印象がありました。「こんなにうまくいかないよなぁ」なんて思うこともしばしば。

ですが、この本では鹿島でオリヴェイラ監督が実際に行った人心掌握術を例に挙げて説明しているので、リアリティがぐっと増してきます。さらにこの章では、鹿島のオリヴェイラ監督のみならず、南アフリカW杯で日本代表を率いた岡田武史監督のモチベーターとしての仕事術も、合わせて紹介されています。

マンガというフィクションに盛り込まれたリアル。それを様々な現実を持って証明する。なんだかETUというチームが実在して、そこで達海監督が本当に指揮をとっているような感覚に陥っていきます。それは、冒頭の“ETU達海 猛 監督 バーチャルインタビュー”からわかるように、この一冊に仕掛けられた明確な戦術だと感じました。

 

“ジャイキリ”ファンも納得のキャスティング

この本を手に取った殆どの人は、マンガのGIANT KILLINGを愛読している方ではないかと思います。勿論、自分も例外ではありません。

恐らくこの本は、マンガを読まずして楽しむことは不可能ではないかと思います。その理由は、この本の目次を見てもらえればお分かり頂けるでしょう。

【目次】
プロローグ 「ジャイアントキリングという発想」 … 岡田康宏
巻頭 ETU達海猛監督 バーチャル・インタビュー … 岩本義弘
第1章 達海猛のメンタルコントロール … 田中滋
第2賞 達海猛と弱者の戦略 … 岡田康宏
第3章 椿大介に見る、抜擢とブレイクの相関関係 … 川端暁彦
第4章 ひとつのクラブで戦い続けるミスターETU村越茂幸 … 土屋雅史
第5章 フリーライター・藤澤桂はどうやって生活しているのか? … 北健一郎
第6章 ETUのアイドル永田有里と広報のお仕事 … 北健一郎
第7章 達海猛から椿大介へ。ETU7番の系譜 … 岩本義弘
第8章 後藤GMと常勝チームの作り方 … 田中滋
第9章 笠野スカウトに見る、日本サッカーの現実 … 川端暁彦
第10章 日本における最高のファンタジスタ、ルイジ吉田 … 岩本義弘
第11章 平泉監督と監督の言葉 … 岡田康宏
第12章 FWのポジションを争う世良、堺、夏木のライバル関係 … 土屋雅史
第13章 ETUの守護神・緑川宏のGKテクニック … 北健一郎
第14章 赤崎遼が示す年代別代表のメリット・デメリット … 川端暁彦
第15章 ベテラン丹波の存在感 … 田中滋
第16章 ユナイテッド・スカルズとサポーターという生き方 … 岡田康宏
第17章 クラブ経営はつらいよ。ETUとアルビSの経営論 … 是永大輔
コラム 名古屋×ETU 試合レビュー … 土屋雅史

Amazon「内容紹介」より引用

1,2章と主人公である達海監督の章が続いた後、もう一人の主人公とも言える椿 大介の章、そして「ミスターETU」こと村越 茂幸の章。ここまではわかります。その後はなんと、女性フリーライターである「藤澤ちゃん」こと藤澤 桂の章へ突入。これはいくらなんでも、スポットライトの焦点が狭すぎるw この他にも、ジャイキリを読んでいる事が前提とされている点が、多々見られました。

“ジャイキリ”の魅力は、サッカーを単に球技としてフォーカスするのではなく、一つの文化として描いているところだと勝手に思っています。なので、選手目線だけではなく、ファン・サポーター、クラブ関係者や記者など、そこに関わる様々な人々の視点で、実に多方面から描写されています。

それ故、いわゆる脇役と呼ばれるキャラクター達も非常にキャラが立っており、それぞれのドラマが個性豊かに描かれています。そしてこの本では、“ジャイキリ”のそういった魅力が存分に活かされています。

先程紹介した記者の“藤澤ちゃん”の他にも、広報やGM、社長、果てはスカウトマンまで、クラブ関係者は一通り登場。その仕事内容や喜び、苦悩など、ここでもふんだんにリアルを用いて解説してくれます。

選手に関しても、「その選手をネタにするか!」といった章ばかりです。最も驚いたのは、第15章の『ベテラン丹波の存在感』でしょうか。ひどい言い方をしてしまいますが、丹羽ほど存在感が薄いキャラもETUにはなかなか居ない気がしますが、そこに敢えて“存在感”問いうテーマをぶつけるのだから脱帽です。

丹羽に関しては、まだいってもETUの選手であるわけですが、第11章のテーマはなんと『平澤監督と監督の言葉』です。平澤監督というのは、ETUと“東京ダービー”を戦うライバルチーム、東京ヴィクトリーの監督です。確かにライバルチームではあるのですが、ETU以外の“その他のチームの一つ”に過ぎないクラブの監督までネタに……

どうでしょう。既に、“ジャイキリ”を読んだことがある人なら、この本に興味が湧いてきたのではないでしょうか?この本を読めば、“ジャイキリ”で描かれるサッカー文化についてもう一歩踏み込めると思います。

そして何といっても、“ジャイキリ”を読み返したくなるはずです。ちなみに自分はすぐに一巻から読み返し始めましたw

最後に、この本の第12章『FWのポジションを争う世良、堺、夏木のライバル関係』でも紹介されていた、ETUのベテランFW堺が若手FW世良に送った持論を。

「ボールってのはな、世良、しぶとく諦めない奴の前に必ず転がってくるもんなんだよ」

GIANT KILING より抜粋

これ、言葉自体はよくあるものだけど、このシーンは良い味出てるんですよねぇ。渋い……。渋すぎるぜ、堺さん……。

  

  

 

 



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